シリア大統領、改革に言及なし 反体制デモ・流血激化必至

アジアの中のシリア。イスラエルの北、イラクのとなり。
シリア地図2。イスラエルとイラクに挟まれています。中東では重要な位置に。

2011年3月30日 産経新聞で、

シリア大統領、改革に言及なし 反体制デモ・流血激化必至

という記事がありました。

世界ではリビア情勢に注目が集まっていますが、

このシリア情勢は、日本にとって極めて重要なため、記事をしょうかいします。

(転載始め)
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シリアのバッシャール・アサド大統領は30日、議会で演説し、デモ隊が要求していた非常事態令解除などの改革の実施に一切言及しなかった。

支配政党バース党による独裁体制からの具体的な改革の方向性が示されなかったことに多くの国民が反発するのは必至で、今後の反体制デモの激化とさらなる流血が懸念されている。

大統領は、一定の改革の必要性は認めつつも「焦ってはいけない」と述べるだけで、南部ダルアーなどの反体制デモについては、「背後にシリアを分裂させようとする陰謀がある」と批判、デモ隊の要求には屈しない姿勢を強調した。

政府は24日、非常事態令解除の検討など改革案を発表していただけに国民の落胆は大きく、交流サイト「フェイスブック」上などでは、演説終了直後から「バッシャールはうそつきだ」などの怒りの書き込みが相次いだ。

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(転載終わり)

記事に対してコメントしたいと思います。

現在のシリア政府は「飴と鞭」の両方を使ってデモ拡大を防ごうとしています。

「飴」は、シリアの政治改革の実施や給与の引き上げを民衆に示しています。

「鞭」は、デモへの治安部隊・軍を用いての暴力的な鎮圧を行っています。

日本と中東地域全体にとってはリビアよりもシリア情勢の方が重要度は高いため、

シリア情勢には注視しておかなくてはなりません。

近年のシリアは、イランやレバノンの武装組織ヒズボラと関係を強化しており、

新たな「中東地域の枢軸国」として不安定化とパワー拡大に暗躍していたからです。

現在の「中東の勢力均衡」は、「イランによる米国の優位性への挑戦」という形で不安定化しています。

イランは核開発によって軍事力を強化することでアメリカに挑戦しています。

しかし、今後、シリアの独裁体制が崩壊した場合は

イランにとっては大きな痛手(ヒズボラへの武器供与はシリアを介して行われているため)となり、

イスラエルや米国の友好国にとっては不安定要因の一つが取り除かれることになります。

当然、日本における不安定要因の一つが取り除かれることになります。

中東の情勢は、即原油価格に直結するからです。

リビアの原油は主にヨーロッパに輸出されているため、

リビア情勢は日本の原油価格に直結していません。

しかし、イランを中心とした中東全体の情勢は、原油の輸入で日本と直結しています。

今後はリビア情勢以上に、シリアやその他中東諸国の動静に目を向ける必要があります。

小島一郎

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