浜岡原発の運転を続けることが「真の英断」だ。

浜岡原発

菅首相は突然、記者会見で中部電力の浜岡原発の運転停止を要請しました。

前触れもなく、40前に中電に要請を伝え、事前の検討も今後の対策もなしの「浜岡原発の運転停止要請」について、「菅首相の御乱心」です。

しかし、驚くべきことに、この法的拘束力もない「要請」に対して、マスコミが飛びつき、左翼知識人のみならず保守的な知識人まで「賛成」の声を上げています。

驚きました。

ハッキリ言って間違っています。

私は、「安全面」と「経済面」の両面から、浜岡原発の4号機、5号機の運転停止の要請には従う必要はないと考えます。

安全面については、池田信夫氏のブログが一番分かりやすいので、一部引用したいと思います。

(引用始め)
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菅首相は突然、記者会見で中部電力の浜岡原発の運転停止を要請した。その理由は

これから30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫しています。こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切です。

ということだが、この理由は非科学的である。

今までに判明している福島第一原発の事故の経緯は、次のようなものだ:

1.地震によって原子炉は緊急停止し、核燃料の連鎖反応は止まった。

2.受電鉄塔が倒壊して外部電源が供給できず、ECCSが作動しなかった。

3.予備電源が津波で浸水して給水ポンプが作動しなかった。

4.原子炉(GE製)の電圧が440Vで、電源車と電圧が合わなかった。

浜岡が危険だといわれたのは、東海地震の震源の真上にあって、原子炉が地震で破壊される(あるいは制御できなくなって暴走する)のではないかということだったが、これについては東海地震で想定されているよりはるかに大きな今回の地震で、福島第一の原子炉は無事に止まった。

浜岡も震度の想定では、東海地震に耐えられる(これは首相も問題にしていない)。

問題は、予備電源が津波で浸水したことである。

浜岡原発のイラスト。

これについては、浜岡には12mの砂丘があり、予備電源と給水ポンプを原子炉建屋の2階屋上(海抜15~30m)に移設する工事がすでに行なわれたので、防潮堤は必要ない。かりに予備電源がすべて地震で破壊されたとしても、浜岡の原子炉は日立製なので、予備の電源車が使える(構内にも電源車がある)。

つまり3と4は福島第一に固有の欠陥であり、浜岡には当てはまらないのだ。

福島第一事故は、最悪の条件で何が起こるかについての「実験」だった。何も知らない外国が漠然と「原発は危ない」と考えて運転を止めるのはしょうがないが、日本政府は因果関係を詳細に知ることができるのだから、事故の原因は予備電源を浸水しやすいタービン建屋の中に置いたという単純な設計ミスだったことがわかるはずだ。

福島第一の場合も原子炉建屋の屋上に移設しておけば、福島第二と同じように冷温停止になったはずだ(工費は数百万円だろう)。

事故原因は特定されているのだから、それを無視して「津波対策をするまで危ない」と考えるのは論理的に間違っている。

中部電力はこの「要請」を拒否し、保安院の説明を求めるべきだ。

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(引用終わり)

菅首相は、「原子力に強い」と言っているようですが、実際の言動は、

「自己保身に強い」としか言えません。それは誰もが認めます。

浜岡原発の運転停止を、政権維持のカードにしたいという下心が見え隠れしています。

福島第一原発の本当の教訓が活かされていません。

そして、もう一つ、「日本経済面」の検討がいります。

5月7日静岡新聞の「浜岡原発停止要請、県内経済界に不安「代替電力の確保を」計画停電なら影響必至」を紹介します。

(転載始め)
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菅直人首相が6日、中電浜岡原発の全原子炉停止を要請したことについて、県内経済界からは「乱暴な話。どれだけ影響が出るのか分かっているのか」などと批判の声が上がった。

県東部に続き中西部でも計画停電が実施される懸念が高まるとし、代替電力を求める意見が目立った。

ニュースで菅首相の運転停止要請を知ったという御室健一郎浜松商工会議所会頭は、「もし実行されれば計画停電は避けられず、生産現場への影響は必至」との認識を示した上、「今回の決断の背景に何があるのか。なぜ、今なのか唐突な感じはする」と首相の意向に首をかしげた。

静岡経済同友会の西雅寛代表幹事は「具体的な不具合が出ているわけでもないのに、どういう判断なのか」と疑問を呈し、「計画停電が仮に実施されば、製造業はまともにものづくりができない」と代替電力の必要性を強調。

金型製造の友成機工(静岡市)の増田勝年社長は「電力の供給を確保しないまま原発を止めるのは発想が逆。思いつきの判断では困る」と批判した。

非製造業にも不安が広がる。静岡市内で飲食店を経営するなすびグループの藤田圭亮社長は「営業時間の短縮、生ものの食材の仕入れを減らすなど対応せざるを得ない」と話す。

県中小企業団体中央会の岸本道明専務理事は「計画停電で県東部は観光に大きな打撃を受けた。県内全体に悪影響が生じる」と懸念を示した。

静岡経済研究所の中嶋寿志専務理事は、「確かに安全面での判断も必要だろうが、日本経済をさらなる混乱に陥れる発言で、東日本大震災からの復興にもマイナスだ」と指摘した。

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(転載終わり)

浜岡原発の運転停止要請を受けての「現場の声」は、

中部方面の「計画停電」と「経済の失速」そして、それに伴う、「東日本大震災の復興の遅れ」です。

さらに、「大規模停電」が起きれば、日本経済全体への悪影響は甚大です。

中部電力の電力需給については、同社が今夏に見込むピーク電力2560万キロワットに対し、浜岡原発を除いた供給力の余裕は77万キロワットしかありません。

気温が1度上がれば電力需要は80万キロワット増えると予測されており、今夏が猛暑になれば電力をまかなえなくなります。

真夏の猛暑時の大規模停電は、「日本経済」のみならず、「健康への被害」も発生します。

さらに、関西電力でも現在、3基の原発が運転を停止中です。

6基の原発を持つ九州電力でも震災前に2基、10日に1基が定期検査に入っており、地元の理解が得られず再開できなければ、夏場に最大20~25%の供給力不足に陥ります。

浜岡原発の停止措置によって、原発停止ドミノが起これば、この夏、計画停電や節電の強制、大規模停電などが起こり、日本経済への打撃は計り知れません。

断固、菅首相の暴論に負けてはなりません。

中部電力の皆さんは、厳しい立場にあるかとは思いますが、自信を持って、浜岡原発の運転を継続していただきたい。

それこそが、「真の英断」です。

小島一郎

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