リビア情勢の行方:「NATO事務総長、武器供与に反対表明」

2011年4月1日 時事通信では、【カダフィ政権は内部崩壊=側近亡命、免責与えず-英外相】

という記事が掲載されました。

(転載始め)
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ヘイグ英外相は31日、ロンドン市内での記者会見で、リビアの最高指導者カダフィ大佐の側近だったクーサ外相が政権離脱し英国に亡命したことに関し、「カダフィ政権が内部から分裂し、崩壊しつつあることを示している」と強調した。

ヘイグ外相は、クーサ氏が過去の行為について「英国もしくは国際司法当局から免責を与えられることはない」と指摘。亡命は反政府勢力にとって「重大な意義」があるとした上で、「カダフィは次に誰が自分を見捨てるかを自問していることだろう」と述べた。

クーサ氏は30日夜、チュニジア経由の特別機でロンドン郊外の空港に到着。現在は「自発的」(ヘイグ外相)に英当局の事情聴取に応じているという。

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(転載終わり)

さらに、リビア情勢の参考になる記事として、2011年3月31日 読売新聞では、

【NATO事務総長、武器供与に反対表明】という記事が紹介されました。

(転載始め)
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北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は31日、訪問先のストックホルムで、米英が検討しているリビア反体制派への武器供与について、「我々が(リビアに)いるのは市民を保護するためで、武装させるためではない」と述べ、反対の立場を表明した。

一方、ラスムセン事務総長は、多国籍軍の対リビア空爆作戦が31日、NATO指揮下に入ったと発表した。武器禁輸のための海上封鎖や飛行禁止空域維持管理に関する作戦は既にNATO指揮下にあり、これで、多国籍軍の対リビア軍事作戦の全指揮権が米軍からNATOに移行した。

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(転載終わり)

現在のリビア国内は体制派と反体制派間で一進一退の攻防が続いていますが、

軍事的にはカダフィ派がいまだ優位を保っています。

しかし、カダフィ派はリビア統治の「正統性」を既に失っており、新たに外相が英国に亡命しました。

リビアは国連大使も元ニカラグア外相を任命しており、

人材自体も枯渇しているのは明らかな状況です(外国人を国連大使に任命するのは先例がありません)。

反体制派も内部での不和(元カダフィの側近には信用がないなど)が生じているため、

今後、内戦が容易に終結する可能性は少ない現状を浮き彫りにしていると判断できるでしょう。

また、英米は反体制派への武器供与の選択肢を排除していませんが、

NATOからは、それに対する反対表明が出てきました。

英米は反体制派に武器供与を行うことで、自らが地上戦に介入するリスクを避けようとしています。

NATOはまた違った理由で武器供与に反対している背景があります。

NATOが反対する理由はリビアの内戦が今後長期化、泥沼化し、

「第2のアフガニスタン」となった場合、供与した武器がテロリストに流れることを危惧していると推測されます。

ソ連のアフガニスタン侵攻では米国がタリバンに武器供与を行いましたが、

それが今度は米国に牙を向けてきた前例があります。

そうした点を鑑みてNATOは現状での武器供与に反対しています(武器供与をした場合更なる介入を求められる可能性もあります)。

リビア情勢はますます混迷の度合いを深め始め、

第二のアフガニスタン化の可能性が高まっています。

リビア情勢が長期化し、アフガン化する場合、

アメリカは、アフガン+リビアとなり、中東に足を引っ張られ続けることになります。

そうなると、中国を中心とするアジアへの米軍の配分が弱ることになるため、

日本の国防は中長期的な未来を見据え、

「自分の国は自分で守る」体制へのシフトを真剣に検討するべき時が来ています。

小島一郎

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